【 マーケットの向こう側 】vol.8 八百屋と種屋さんの話

 

“ NARAFOODSHEDと五ふしの草の共同制作で連載 ”

食べることを深く知り、考えるため
作り手や届け手、食べ手の思いを訊く

街のファーマーズマーケットに関わる人々を
“水を運ぶ者(裏方スタッフ)”
ガイド的に寄稿するルポルタージュ「マーケットの向こう側」

小さな農を土台とした地域循環の中で、マーケット内外の農家さんや八百屋さん、料理人や裏方、お客さんたちの人生にフォーカスし、作り手、繋ぎ手、食べ手の奥行きに触れる媒体です。

お互いの垣根を越えるきっかけになれば嬉しいです。

/ 編集・写真 :  榊原一憲


 

今回のvol.8は、畑懐・中村訓さんにお話を訊く『 八百屋と種屋さんの話 』です。

場所は、裏奈良で飲屋街、新大宮の名店「俵」。
古い収録(2024年6月)になるのと(変化の多い時代なので、今と違うところも少しは出てきているのかもしれません。)
お酒の席にもなるので(すみません)、気楽にと言いますか、あまり硬くならずにお付き合い頂きたいです。
いつかどこかで誰かに受け取ってもらえたならなぁと思っていた話で、あえてというより、たまたま「今」になりましたが、語られていることを眺めて共有して頂ければと思います。

2025年12月。
長らく在来種や有機種子などを販売してきた畑懐の中村さんは、日本採種組合を立ち上げました。
目的は「国内採種の復活を目指して」
採種農業者、種屋、販売店、など11名のチームで組み、始まりました。
結成の趣意は、畑懐さんのインスタにてご覧いただけます。
このひとつの行動。素晴らしいしワクワクします。本当にこれからの日本の農業にとって、
とても大切なことが擬縮されてるなぁとも感じていますし、これからの活動をみなさんにもフォローして頂けたらなぁと思っています。
そんな気持ちを抱えつつ、このお話し、ある時、ある二人が話し合ったことをお伝えします。

 

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榊原 まず最初に。でっかい八百屋、流通業は、これからなくなっていくよと出会ってすぐに仰ってたんですけど、これはどういう意味でしょうか?

中村 単純にこれから日本の農業文化の状況を見たときに、大きく作物を画一的に揃えられへんっていうのがまずある。 そこよりもね、今まで僕たちが信じてきたビジネスモデル自体がもう限界だから。 例えばそれが終わると思って、つながりで食を循環していかないとあかん時代がもう結構割と押し迫ってるみたいな。 自分の食べるものは自分たちで金出して買える。みたいな時代はもうおしまいじゃないかなって思ってる。 自分の手元にちゃんと食べることをしっかり持ち直さないと。 そこから立ち直せないと、立ち行かないと思ってる。


榊原
 例えば大きい種屋さんはどうなんでしょうか? ゲノム編集があって、遺伝子組み換えがあって、海外の大きい種屋さんとか大きな企業が日本の種屋さんをなんか支配するんちゃうかっていう、すごい漠然とした疑問なんですけど。種屋さんに関しては、大きい種屋さんと小さい種屋さんはどう考えたら?
中村 例えばある大手(の種苗会社)はね、今はまだわかんないけど、上場してない。
もう一つのみんな知ってる大手はしちゃってる。もう株を持ってる人が外国人かもしれない。
日本種苗協会ってあるわけです。僕も一応入ってるんですけど。 メーカーや僕みたいな小売店の立場が、こうピラミッド型になってるね。どこの業界もそうですね。日本種苗協会の何十周年記念っていうのを帝国ホテルでこの間やってらしたんだけど、見に行こうかなとは思ったんだけど、参加費があまりにも高かったから行かなかった。その記念冊子作って配るわけ。そこに書いてあることがね。農業に労働力不足がないと。だから海外から入れる方向にどんどん国にプッシュしてやっていかない。みたいなことがかいてあるわけ。
それってグローバリストの考え方。 でも今、グローバリズム優先はもう終わった。 そういった意味で、(従来型は)なくなるんじゃないってこと。

 

種の世界から始めている

 

榊原 種の問題に関しても、あるところまでで従来型の考えっていうのは消えていくということですか?

中村 もう自分ファーストっていう考え方で、企業が一番力を持って支配するみたいなのは、もうそろそろ終わってきてる。僕らが終わらせなきゃいけないねって。だから、一人一人自立が必要。気づいた人からこれやべえんじゃないの?って人から、自分たちの経済圏を作っていこうっていうことだよ。作っていいんだよ。作ったらいいんだよ。そう、作っていかないと。だってみんな言うこと聞いてたらつらいままだから。ほっといていい。

榊原 自前で違和感のない方へいくしかない?

中村 みんながそれだったらいいねってことをみんなで考えてやっていけばいい。人生変わるよ。今、採種への取り組みをやり始めて、やっぱり今までの種屋さんの考え方とかやり方とか、一回抜きにして自分が一番気持ち良かったり、かっこよかったりする方がいいと思う。
基本的にどんな産業であっても、一次産業を食い潰してるんですよ。 一次産業を買いたたいて。そうじゃなくて、一番大事な食べ物の、畑の現場から適正価格を引き出そうよっていうことを、種の世界から始めている。

 

 

榊原 国が日本の小規模農家に大事にしない。 お金をちゃんと保障しないことについてはどう思います?

中村 お金に目がくらむから、経済とか発展とか成長ばかり見てて。農業は衰退していってるから、外需に行く。本質的にお金の亡者になってるってことなんだろうけど。どうせこれから成長もしない農業に渡すぐらいやったら、もっと手っ取り早く成長できる分野に投資した方が。

榊原 そしたら、より支配する側が、衰退した貧しい側が支配しやすい?

中村 しやすい。農業潰す方向にしか動いてないから。ヨーロッパだったら一応本気か嘘かは別として、やっぱりかなり手厚くするわけですよね。農家に対する。でも今ヨーロッパで起きてることは、補償金がないと生活が元々できないベースになってる。
そこの方策の開け閉めで苦しんでる。結局その政府がさ、日本の場合官僚が・・・もっと上の支配者層に命令されちゃって。

榊原 その辺のからくりじゃないですけど、社会の構造とかはもう昔から意識があったんですよ。種屋さんになってからとかではなくて。

中村 いや、もう全ての産業はその傘下にある。お金の発行権も含めて。だから、その連中のことお聞きしてたら、どんどん奴隷化される一方。

榊原 社会の構造に対して、いろんな小さい種屋さんがいますよね。食べれるだけでもありがたいという信念、考え方を持ってる方とか。中村さんは、コミュニティー重視みたいなところが活動から感じられる。種屋さんとしてののスタイル、スタンスが素晴らしいと思ってます。在来種の種少ないじゃないですか。 そこでやっぱ自分のやり方みたいなのが、いろんな種屋さんのあり方を変えていかなきゃいけないのはあるんですか?

中村 変えていくんじゃなくて。別にポイント作れば。
ある人が言っとんだけど、組織ですよね。 会社が駄目になったら、その駄目な会社を立て直そうっていうよりも、潰して新しく作った方が金も労力もかからないし、手っ取り早くて。その方がいいよっていう話を聞いたんだよね。だからまあ、今ある種屋さんの大きな流れじゃなくて、小さな流れの中で一回とっぱらって、もう素直に自分が種屋さんとしてこうあったらええんちゃうかみたいなのをちょっとずつ上に。 だから、旗立てないと新しく別に。

種屋の組合って必要なんですよ。 ちゃんと種を維持採種してくには。 その本質的なことをちゃんとみんな分かってる組合が必要ってこと。一社じゃ無理なんだ。何百品種の採種はできない。多種多様だから。まわし合わなきゃ無理だから。 ってことは、最初からチームじゃねえといけない。独立してるけど、独立してる同士の-。バトルする場合でもないんじゃない? 最初からチームでやる。だったら、みんなが求める品質っていうものをちゃんと維持していける。一番大事なのは畑だし、その地域、農村だし、里だし、そこに住んでる人たちじゃん。
その住んでる人たちを全然さ、上の方の人は大切にしてないよ。 外からの圧力しかない。 その考えは海賊だよ。 その考えは泥棒。うん。 そんな連中をその組織の中で、いやこうでしょうと言ってやったところで疲れるから、別に仲間作った方が早いな。

榊原 農家さんて今やっぱり独立してピン芸人じゃないですけど、ピンでやるっていうのを一通り経由しますよね。やっぱりそれしか生き残る道がほとんどに地域にないんで。 小規模で家族経営で独立した農園として存在するのはもちろん大事やけど、それとは別に、大きな企業とか力っていうのは確実にかなり力を社会に発揮している。ある程度そこと対峙していく上で、組合っていう機能は昔から多様性の強みというか、それぞれ独立してるけど、ある程度住み分けで必要。 一人で食べてけるっていうのは必要だと思う。 やっぱ種もそうだし。 種でもやっぱそういう種屋さんで志があって、組むとこは組んでちゃんと一緒に協力して連携してっていう、そういう気持ちが増えてきてるんですか?増えては来てなくて。でも少ないけどいてくれるのはいてくれてる。

中村 これから発掘しようかっていうことです。アサヒ農園っていうね、種屋が愛知にあるんだけど、そこの社長が話を聞きたいって言ってきたわけよ。 僕からしたらメーカーだからさ。でもどうせだったら何か一つ形にしましょうよって。 今共同で採種を始めてんですよ。どうせなら農薬使わない方がいい。 だって農薬使ってない種を欲しがってるんだから。 で何が問題って。 種屋さんはみんな種を採種してくれる人がいなくて困ってる。僕もほとんどが仕入れなわけですよ。だから農業者への買取価格て全然知らなかった。ここ数年知って。もうね、日本じゃないぜ、価格が。うん、もうタイの方が(採種の価格)高いだろ、っていうぐらいな。うん。卵の値段が変わらないと同じように、なんでその価格で推移してるかわかんないけど、そんなんでやる人いないと思います。俺も嫌だし、若い方々が農業経営の中の一つの柱に計算できるぐらいの価格設定でやっていかないと、無理だよ。それって流通革命だよ。採種してくれる人っていないです。 値段だろそれって。 値段ですよね、きっと。 だったら上代上げるしかねぇじゃんって。 方法はそこしかなくない?農業への個別補償がないこの国で、そこの分配率を上げるしかない。

榊原 はっきり言ってその野菜の値段、食べ物の値段、全部安いって。もう倍でもおかしくないわけじゃないですか。 今、物価高で大体いろんなものが1.3から1.5倍ぐらいのイメージで。でももう種とか農業の農作物とか行ったら、多分2倍ぐらいのイメージにしていかなアカンのを、やっぱ消費者の人も食べはる人も飲食店の人もやっぱり厳しいし。 2倍にしていけない中で、どうやったら値段って適正になるの?

中村 それは上げたら買えない。だからこれはトライですよね。挑戦なんですよね。考え方をでも180度変えろって話なんですよ。だって、これ議員と話してたんですけどね。 たまたま認定農業者の勉強会があって、そこに呼ばれたわけですよ。 で、僕行ったら、農業者だけだと思ったら、議員がいたわけですよ。 自民党のね。だって農業を育てるための施策なんか一個もしてないじゃない。工業推進するために農業売ったのは間違いないですよね。 で、みんな周りは農業者。 正直間違いないですって言わせたかった。でもじゃあ、そういった環境がある中で、僕らさ、何ができる? って言ったらさ、周りから少しずつ自分の仲間、コミュニティを広げてく。やっぱりそこで、この値段で本当はやってこう、種採ろうと。1 リットルの種を取るときにどれほどの時間と労力がかかるか。
それを全くイメージしなかったり、想像しなかった方にわかるように。じゃあこれを 1袋買うのに、これくらいの値段です。この採種でできますかっていう話。一束小松菜がね、 100円で売ってるってのは、どう考えても無理だわ。それをみんな知らないから、なるべく畑に近づいてもらいたいし、一番大事な食べ物、今日の食べ物がだって明日の食べ物に。考え方でしょ。分かってるのに、なかなかというのは、もうみんな普段忙しくて、とてもそんなとこまでわかってって言ってもね、ボーナスが出るわけでもないし、みんなお金、そのシステムの中で、甘んじちゃってる。だから本当に民主主義になれば違うと思うんだよ。名ばかりの民主主義じゃなくてね。本当に民意にちゃんと民主主義やったらこんな世の中にはならないから。ただ、一部の強欲の人たちがみんなのお金を吸いとっただけでしょ。ほんと、農家さんを応援したいって言って、お母さんが野菜買うんですよ。でも、あんまりそれで農家さんの状況を改善するわけじゃないじゃないですか、今の値段って。

榊原 だから、やっぱ長いこと時間かけて作った価格っていうのを一回ひっくり返さないと。でも、ほんとこの何年かの異常気象で野菜の値段が一つも、あって当たり前が、あって当たり前じゃなかったんやっていう人も増えてきてるんで。 今本当にそれをちゃんと正しく正確にわかってもらう時期。

中村
 榊原さんが一番やってるあの提携ですよね。あの販売方式。何だっけ?CSA。で、その流れでどんどんどんどん広げてってさ。

 

 

 

流通革命ですよ

 

榊原 野菜の値段 230 でうち売ってるんですよ、小松菜税込。これは小規模の家族経営の小松菜なんですよ。
でも大規模で、ハウスで、ほんまにその外国人労働者に小松菜の袋詰めさせたり、行政自治体から助成金をもらって、給料を出させて、若い人に一日中袋詰めさせてる小松菜でも税込 170円ですよ。 で卸で1パック大体100円から 110円なんですよ。もうそこのせめぎ合いって、そもそも全部間違ってて。 まずその110、 100円、 110円卸で、170円で大規模にやって、やるっていう仕組みももう労働の搾取やし。 230円で売ったとしても、その100円で子供を育てて、高い塾代やなんやとか払って。 特に今、部活も外でやって、部活も外でお金払って、代行払わなきゃね。 そういうのはね、何百パックと売っても、小規模でも全部売り切れないと無理なんですよ。

だから、だんだんいろいろ見えてきて、これどう考えても別に場を作るしかないわと。 例えば、奈良で言うとファーマーズマーケットってのを月一回あるんですけども。 みんな基本日常宅配会社に行くでしょ? ほんで直売所行くでしょ、スーパー行くでしょ。 一ヶ月30日あるうちの29日それなんですよ。でも無機質やし、画一的やし、心籠もってないし、人間味もない。月に一回だけファーマーズマーケット来て、すごい人間らしい買い物ができるって。でももう 29対1なんですよ。もうどんどん農業現場も。農業人生も最初はまだ子供とかいなかったり、一人でやってたり、夫婦でやってる時は我慢できる。でも子供できてて、1日だけしか投票してもらえへんから、やってられないんですよ。出てくる若手とか、農業にかけれるパワーも人生もどんどん少なくなってて。営業、接客、六次化しないとあかんから。これどうなんねんやろみたいな。で、みんな口揃えて言うんですよ。種採りできる時間が欲しい。本当はしたいんですよね、やっぱね、1種類、2種類ぐらい。

中村 困ったもんです。けんちゃんファミリー農園と話してたんですけど。やっぱり、いいんですよ。あのシェアシードとか、シードバンクの広がるのは全然応援してます。自家採種も全然応援してます、当然。だけどやっぱり現場では、あの、先祖返りしたりとか、交雑もしたりだとか、あの時のあの味、柔らかさ、食感っていうのが急にできなくなってくるんですよ、やっぱり。硬いナッパそれが俺んとこの野菜だって、ファンはみんな納得してるとは思うけども。でも最初の頃のやわらかく美味いなって感じた野菜からしたら、変わるじゃないですか。だからそれは品質が変わってきてる。

榊原 でもそれ中村さんは、その種屋さんとして、その3年5年自家採種して、やっぱり元に戻したいですか?

中村 いろんな人いてる中で、この野菜のこの品種はこんな味形だったって、そんな基準は持ってない。だってその当時知らないもん。移り変わっていいもんなの。 移り変わっていいものだから。 でもある程度は、例えば、田楽作りましょう。あの時のあの味、あの季節のこの味付けのこのナスっていうのをさ。 やっぱり覚えてないと大変よ。で、それが変化してたらつまんないじゃん。単純に食べるって行為も。 だからそれには品種の維持っていうのが必要なんだよ。それは種屋さんの仕事なのかなって。それでいいよみたいな。 このままでいい。 それが種だよみたいな。 いや、この形質でいてくれ、それはエゴかもしれない。 だって、変化、変化するのは自然の流れ。だけど、そのままにしてたらやっぱり野生化しちゃうし。僕ら食べなきゃ死んじゃう生き物だから。なんでもいいわけじゃないじゃん。 美味しく食べたいし、美味しく料理したいし。 で、それも含めて食文化だから。 そうなると品種の維持ってやっぱ必要だなって、やってかなあかん。
それってめっちゃ大変じゃんて。 そこがあんまりお金を産む世界じゃないから。ですよね。例えば、僕が種持っててさ、これを種採りしてくれっていうことになる。 それを原種っていうんですよ。 この原種のもとのを原原種っていうんですけど、この原原種の維持を本当にしっかりしないと、この原種が出せないじゃないですか。 ですよね。 だからこの原原種の維持がそんなにお金になんないって分かりますよね。 だから販売するグループ化もしてかないといけないし。グループ化するってことは、この農家さんに採種してもらう。それをちゃんと出してくれた時にしっかり分母として、自分たちがちゃんと吸収して伝えていったり、売ったり、販売も含めて安定させていこうということです。 そうですね、種の販売ルートも含めて。で、結局結構たくさんできるわけですよ種が。それこそあの反当たりいくらっていう買い方じゃない、野菜って一般的な流通だと。 種もその流れの中にある。 昔は全量買いでみたいな感じだったわけ。でもなかなか畑も大変だから、最低が1aぐらいになったわけですよ。 ね。1a全量買い上げるって。買い上げの固定とかそういう話です。 買い上げたとしても、買い上げた種苗会社が全然売れないわけよ。結局半分以上捨てちゃうっていう、そういう状況。じゃあそもそもその単位の取引やめません?とかさ。だから今トライしてるのはあくまでも、全く新しいトライじゃん。流通革命ですよ。だからダメだったらまた修正しながらさ。採種の農業者と、種屋と、それを販売してくれてる通販とか、みんな同じテーブルに集まって、で、どうすんねんお金の分配みたいなことをやってるんですよ。

榊原 やってますね。

中村 うん。だから僕の方でね、例えば、このナスが小売で 200袋売れました。卸で100袋売りました。で、小売りの方は500円で売れたから、200掛ける500だったとかで。卸の方は100掛ける500だったり総売上出るじゃないですか。その総売り上げの分配をどうするかっていう会議をしてですね、引き出す。

榊原 すごいですね。

中村 それやり始めた。でもみんなじゃあいくらぐらいだったらいける、農業者に聞いてもわからん。俺もよくわからん。実際。

榊原 でもやっぱ一番把握してますよね。全貌を分かってますよね。

中村 多分ね。で、今までパッと仕入れてきてさ。そこからこうかけてさ。それでも毎年胃が辛くなるぐらいのギリギリでずっと24年ぐらいですよ。いやこのスタイル、みんなで会議して決めるのはコロナからだよ。

榊原 でもほんままさに共同で、もう一からやってるってことですね。もう今までの一回取っ払って、まさに流通としてどれが一番人間味があって、それぞれがちゃんと飯食えて、それをもう最初から。

中村 じゃないと意味ないってことだから。

榊原 もう組合とか寄り合いの原初ですよ。

中村 そこから作り直さないと。畑の現場から適正、全ての適正価格を積み上げない限り、まだお金がみんな必要だっていうならね。

榊原 あ、そっか、そこもあるんですね。

中村 その先にはあると思うよ。

榊原 それから離れる世界もあるけど。

中村 あるけど、その移行期間は絶対あるから。

榊原 あのさっきちらっとお話してた、僕それを自分の中で一個基準として持ってるんですけど。種が残ってもそれを蒔く作り手がいなくなったら意味ないですよね。ずっと思ってるんです。例えば種をめぐる大きな活動、関わらせてもらって、すごい僕も刺激もらえますし、ほんま出会えて良かったなと心から思うんやけど。そこのところが結構気になってて。種にすごいフォーカスしてる分、僕の中では結構生産者が存在できなくなる世界、っていうことが結構ありありリアルに毎日迫ってきてて。 要するに仕事として種農家であってもなくても、アドバンテージがなければ飯を食っていけない状態。 もしそれが本当にこのまま続いていったらと。みんな種を大事っていうのが、すごい何て言うんですかね、直感でわかるっていうのはすごいなと思う。 でも生産者が飯食えなくなって辞めていって、離婚して、あるいは自分の命がなくなって、あるいは頭おかしくなって、もう農地を大家さんから返せとか言われるとか、それで仕方がないから違う仕事してとかっていうのは割と自分の身にまわりではリアルなんです。そうなると種も人もどっちも絶対残らない。肌感覚ではすごいもう農家のいなくなってる速度の早い感じがします。

中村 やっぱどんだけ売れるか。八百屋としたらそう思うよね。仕入れるとこなくなっちゃうじゃない。
そうなんですよ。僕も同じこと思ってたんですよ。あれ、これ、仕入れるとこなくなっちゃうじゃん。自分で生産、流通システム
をどんどんやっていかないと生活できなくなっちゃうじゃんっていうのが発端だよやっぱり。
いろいろわかってきて、これは本格的にやっていかんと。だから、そこまで考えなくてもいなくなるっていうのはもう割とリアル
やから。 何もしなかったら、いなくなるから。 そういうので、もう人間不信になったら、すごい泥沼とかになるよ。

榊原 ベースは何年もずっと自分も含めて底辺なんですよ。一応最低限の水はもらってるけど。いつ糸が切れてもおかしくないぐらいずっと推移してて。こんなに地域で生産者が、地元の心ある人に食べてもらうのは難しいんかって、ほんまに痛感してて。でもお客さんは目新しいサービスが好き。 農家さんの畑で育ててるリズムと、お客さんの目移りが、もう次元が違いすぎて。 八百屋としてはバランス取ったり、調和を求めるのが仕事だから。 でも離れすぎたらどうしようもない。 農家さんの経営として苦しいのは当たり前。 答えないですよ。 本当に食糧不足みたいなのが起こってほしくないから。

中村 そうですよ。 だって本当困っちゃう。 いや、僕らはそんな困んないんだよ。 まあ普段から近いから。 でもさ、縁のない人にあげるわけにもいかないしね。そうだね。縁でしかないじゃん。縁がないような、本当に都会に住んでる人って、超やばくなる可能性だってあるわけですよ。 明日。いつもあるわけじゃない。ほんまは明日、来月、来週。うん、あるわけないよ。そう言われないとわかんないのかも。

榊原 だけど、やっぱり目の前で本当に困らないと本当に大事なことを見ようとしないから。それを望んでいるわけじゃないですよ。当たり前やと思っちゃうんですよ。その農家さんがいてて、当たり前やと思ってるのを全然当たり前じゃないよってどうやったら伝わるんだろう。

中村 ある意味いい諦めも大事よ。あんまり。僕らがほとんどの場合たまたまそう思っちゃうタイプであって、自分で考えてるだけであって。 生涯の年収、お勉強して、遊びたい時間を勝ち取るみたいなさ、ことを信じてる社会やから。そこに対して それって幸せって違くない? なんて思ってる人の方が少ないわけよ。 こっちが特殊で、そういった意味じゃね。 そうですよね。だけど、僕らはそれがどうしてもできないもんだから、自分のやりたいことでっていうか、自分が納得できることでなんとか生活をまわそうと思うんだけど、大概がそっちなので。それは基本的に大変に決まってるわけやから。それはこだわりの農業者に対してももちろんそうだしさ。そういう中にあって、コロナになりました。で、日常なくなったっていう世界になった時に、何が大事なんだ? って思った人たちが一定数いて、それで金じゃないとか、少しでも家庭参画しなきゃっていう需要が生まれたわけですよ。

榊原 そうですね。うん。だから、先にやっとくしかない。もちろん大変なのは当たり前と思って。

中村 なんか残るしさ。

 

 

 

そこから全部組み立てて考えたら
間違いないと思います。

 

榊原 その採種農家に若手が入ることってできるんですか?

中村 全然できる。
それは地道に自分で何種類か何回か採って、自分なりにその風土に対してしっかり採り方もそうやし、安全のさせ方もそうやし、ある程度のところまで行けば、そういう風土が繋がったら出せる。小遣い稼ぎじゃないですけど、経営の一部になる。

榊原 多分若手の中ではそんなこと考えもしてないけど、そんなのできたらめっちゃ嬉しいっていうモチベーションにもなるし。

中村 って思ってる人は別にそこまで雲の上の発想じゃなくて。全然ありやと。やっていて、やっぱそれは一経営の一個として持てるようになってほしいと。 それは僕の方も頑張らなきゃいけないですよ。僕も販売のルートのキャパを広げていかないといけないからさ。

榊原 あと、苗のそのニーズというか、求めてる方の熱量みたいな感じます?
その年々必要とされてる感じはありますか?

中村 うーん。 まあ、今うちの生産体制がそんな広げれないもんだから、どっかでそんなたくさん来ても困るっていうのがちょうどいいぐらい。今のシステムだとこれ以上増やせない。生産量が。 でも全然増えるのは増える。 だってこれ単純にあの青梅ファームさんから聞いた話しなんだけど。 飲食店に卸したりするじゃないですか。 青山とか東京の。飲食店の数って、あの入れ替わりながらやっぱ一定なんだよな。お客さんの数一定なんだよね。店が変わったとしても。でも一般消費者って無限じゃん。だから、一般消費者に結構力入れてた。

やっぱりね家庭の食卓が基本なのは。どんな人も。もうそこがまず豊かに家庭の食卓を大事にする。そこから全部組み立てて考えたら間違いないと思います。どんなビジネスプランであったとしても、自分の行動の指針的なものをやっぱ家族のことですね。ちゃんと子供を育てるっていうか、やっぱり家族の食卓だよね。

榊原 家族の原点ですから。

中村 そこが原点で、僕はたまたまそれを在来種の美味しさを知っちゃったもんで、僕が食べるんだったら、僕のあの家族と一緒に食べるんだったらこっちの野菜の方がいいよな、あくまでもそこが原点です。

榊原 味から入ってるのはすごいですね。 食べてみてなんですね。

中村 あ、違う?こんなに多様なんやっていうところから、要するにもうほんま五感で入っていってるわけじゃないですかね。ほんまやったらそう。

榊原 いろんな状況からして大事やなっていうのじゃなくて、一回試してみようみたいなところから食べてみて種の世界に入ってはるんですね。

中村 種屋さんも八百屋さんも元を辿れば、やっぱりその作る人が原点じゃないですか。でもその農家さんも台所も八百屋も、まあ僕もそうですけど、もうちょっと現実、現代社会の構造でやられちゃってたり、切実で諦めてたりっていうのはやっぱあると思うんですよね。

榊原 今から例えば苗屋さんになりたいと思っても、それをほんまに生業にするっていうのは、やっぱり農家さんも同じように二世代、三世代っていう、やっぱり階段は絶対あると思うし。でもやっぱり今ってすごい、そういう意味でどの立ち位置の人も、今までの変なもの取っ払って、心あるテーブルでみんなでもう一回ちゃんと素直にそれぞれが生きていけるように、仕事できるようになってきた気がしたんですけど。それぞれ孤立して、もうしょうがない、もう諦めたい。 僕あると思うんですよ。 農家さん自身も他の農家さんと共同するイメージ持てなかったり、競争社会だし、競争相手になってくる。 僕ら騙されてきたんだと思うよ。 そうですね。

中村 そういう思想に。

榊原 思い込みですか。

中村 うん。

榊原 今それでやっぱりその打ちひしがれてたり。僕もそうですけど、ちょっと泣き入ってきてますね。思い込みが過ぎるんです。

中村 分断。分断政策ですよ。支配者側からしてみたら連携されたくない。

榊原 そこでもう連携しようとして、そんな簡単に連携させへんようにしてるのに、頑張って。で、三回目、四回目、五回目分断して、やっと泣きはいってきたよ、よしよしみたいな感じで。そこを乗り越えてでもやっぱ信じて、連動して連携するっていうのがやっぱ大事。ですよね。

中村 だからそれが答えだと思うで。日本の大根で体ができてる。食べ物でできてる。そこはもう絶対、絶対じゃないけど間違いない。要するに一人で生きれないわけで。他の命で生きてる。

榊原 繋がりで生きている。僕はただ種を仕入れさせてもらって、売ったマージンで、言うたら子供がちょっとプール行きたいって言ったらプール代出してるわけじゃないですか。 でもやっぱその繋がりが信じれなくさせてる社会の制度があるんですよね。

中村 空気感がね。そんなのは幻想だ。

榊原 思い込みで幻想。錯覚ですから、やっぱ自分らで食べ物とか作る人を繋いでいけるんだっていう。惑わされてると思わなあかんですね。

中村 分断、分断、分断。競争、競争、競争。小学校から。
評価するのが勉強と体育ぐらいでさ、人生の中のごく一部もいいところだろうが、あそこで優劣つけてさ、コンプレックスになっちゃうし、なったしさ。で、こういうのがいいだぞってなんかモデルがあってさ。それにいけない人が落ちこぼれって呼ばれたりしてさ。いや、だけどさ、そもそもそれ必要?みたいな。いや、そんな必要ないよねってみんな言うじゃん。だけど、お金お金になってるもんな。どうしてもそこに付き合わ
ざるを得ない。僕も。そうじゃないわけだから。じゃあもうそれみんなでやっていこうよっていう話よね。

特に震災以降は人の意識も変わってきてるし。震災の頃は民主党だったよね。 直ちに被害はありませんって一生懸命言ってたわけじゃんね。でも、こうやって映像見ててさ、きのこ雲出たのも見てるからさ。ダメじゃんって。メルトダウンだから。うん、完全行ったじゃん今って。映ったじゃん。あれから全然映してくれないんだけど、映ったじゃんみたいな。うん。全然ダメだよって。でもあれからいろいろ勉強したし。そこら辺からまあなんやかとか、ほんまの真実をやっぱり見極める人たちも出てきた。
だから、そのぐらいかけ離れちゃってるわけだ。グローバリズムって中でずっと経済成長してきた。そんなのずっとやってたらつらいじゃん、こっちは。大多数がそんな世界を望んでない。別に今日家族と楽しくご飯食べれればいいじゃん。

榊原 年に2回ぐらい旅に行けたりとか。それも近くでいいんですよ。

中村 別に海外だっていいよ。年に一回ぐらい海外ぐらいでさ。別にみんなランボルギーニとかポルシェが乗りたいわけでもなく、特に若い人なんて別にそんな。いやもっと違うでしょっていう感覚がある中で、そんなに極一部の強欲な人たちが特権行使してるんだったら。もうね99%対1%の戦いなのは間違いないなっていうのが見えてきたから、僕ら自立、自律していかないとね。という話しです。